日本の水資源の歴史的背景とウォーターサーバー流行の現代

一昔前まで、日本では「水に高いお金は払わない」といった風潮がありました。
レストランで提供されるお冷は無料だし、一般家庭でも水道水は格安です。
日本は狭い島国ですが、その国土の多くは山であり、細い川が多いため、川の流れが大変急であるために川の水が淀むこともなく、綺麗なまま流れているのです。
そのため水資源としても清水が多く確保できる、世界的にも珍しい国のひとつと言えます。
そして戦後急速にインフラの整備が進み、ほとんどの地域で上下水道が整備された為、蛇口さえひねれば飲用可能な水が水道水として止めどなく流れるというわけです。
このような歴史的背景がありながら、昨今ではミネラルウォーターの販売額が飛躍的に伸びています。
特に最近ではウォーターサーバーを導入する家庭も多く、水が商売道具として成り立つようになったのです。
私が以前勤めていたホテルのレストランは、当時売り上げが伸び悩んでいました。
バイキングレストランであったため、従来から利用してきた冷水タンクでお冷を提供してきたのですが、あるとき企画会議でそのお冷にメスを入れるという案が浮上したのです。
実は企画書を提案したのは私が所属する部署だったのですが、提案した内容としては「お冷としてウォーターサーバーの導入を、そして500mlサイズのペットボトルのミネラルウォーターを数種類と炭酸水の販売を開始する」ということでした。
従来の冷水タンクにも実はミネラルウォーターを入れていました。
しかし、それはお客様に伝わりません。
ウォーターサーバーなら明らかにミネラルウォーターであって水道水ではないということを設置するだけでアピールすることが出来るのです。
同じコストをかけるなら、アピールをしなければ商売として意味がありません。
現場からは「従来の冷水タンクにミネラルウォーターの商品シールを貼ればどうか」と反論を受けましたが、清潔感が違うということでウォーターサーバーの導入が決定しました。
また、ミネラルウォーターと炭酸水の販売はアルコールと同じようにバイキングとは別料金に設定するようにしました。
バイキングの定番はソフトドリンクのリフィルフリーで、そのレストランも定番どおりのラインナップを取り揃えていました。
しかし、そのタンクに衛生上の嫌悪感を示す層がいることはマーケティングリサーチで明らかで、さらにホテル側のターゲットである、若い女性層に多いということも理由のひとつでした。
実際にイタリアンレストランなどのランチでは、食後のコーヒーの他にドリンクの注文をする若い女性を多く見かけますが、最近では炭酸水や硬水を美容にと愛飲する女性も多いのです。
ボトリングされた状態のままの提供は、衛生観念の問題から起こる嫌悪感を解消するため、また余りを持ち帰ることを想定した上でのことでした。
更に購入したお水を注ぐのはワイングラスを使うことにしました。
来店時にお持ちするお冷のグラスと区別することで、高級感が増すというオマケ付きというわけです。
この提案がレストランの売り上げを大幅に上げたとは正直言えませんでしたが、導入を取りやめる理由も無いというレベルには好評を博しました。
特に炭酸水の売り上げは良く、若い女性の利用客が増えました。
また、ウォーターサーバーのお冷は、朝一番の喉を潤すのに良いと宿泊客の朝食時に特に好評で、宿泊の方にも良い数字を残しました。